教皇フランシスコ 正午の祈り (2022年7月31日:年間第18主日)
主日の福音:ルカ12・13-21
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兄弟姉妹のみなさん、こんにちは!
今日の典礼の福音の中で、ある人がイエスに言います、
「先生、遺産をわたしと分けるよう、兄弟におっしゃってください」(ルカ12・13)。
これはひじょうによくある状況で、同じような問題は今でもあります。
どんなに多くの兄弟姉妹たち、同じ家族のメンバーたちが
遺産が原因でけんかをしたり、口をきかなくなったりするでしょうか!
イエスは、この人に答えながら、詳細に入ることなく、
ものの所有がもたらす分裂の根源に行き、明確に言われます、
「貪欲に気をつけ、用心しなさい」(15節)。
貪欲(cupidigia)とは何でしょうか。
それは、抑制できない所有欲、つねに豊かになりたいという望みです。
それは、人を滅ぼす病気です。
なぜなら所有の渇望は依存を生み出すからです。
特に、たくさん持っている人は、決して満足しません。
つねにより多くを求めます。そして、自分のためだけに。
しかしこのようにして、その人はもはや自由ではありません。
自由で平安に生きるために役立つはずのものに、
逆説的に、執着し、奴隷となります。
お金を使う(servirsi )のではなく、
お金の僕(servo)(お金に仕える者)となります。
しかし、貪欲は社会にとっても危険な病気です。
それが原因で、私たちは今日、もう一つの逆説に至っています。
少しの人が多くを持ち、多くの人がほとんどあるいは何も持たないという
歴史上かつてない不公平に至っているのです。
戦争や紛争を考えてみても、
ほとんどつねに、そこには資源や富への欲望があります。
戦争の裏に、どれだけの利害があるでしょうか!
その一つが武器取引であることは間違いありません。
この取引は、私たちがしてはならない、そしてあきらめることは出来ない
スキャンダルです。
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イエスは今日、このことすべての中心には、
何人かの権力者や、ある種の経済システムがあるだけでないことを
私たちに教えています。
その中心には、一人ひとりの心の中の貪欲があります。
ですから、自問してみましょう。
私の、財産(所有物)、富からの離脱はどうでしょうか。
私は、自分に足りないものを嘆いているでしょうか、
それとも、持っているもので満足しているでしょうか。
私は、お金やチャンスのために、
関係を犠牲にしたり、
他の人のための時間を犠牲にする誘惑にかられているでしょうか。
さらに、私は貪欲の祭壇に、合法性と誠実さを犠牲にすることがあるでしょうか。
私は「祭壇」と言いました。なぜでしょうか。
なぜなら、物質的な財産、お金、富は、
崇拝、真の偶像崇拝になりうるからです。
ですからイエスは、強い言葉で私たちに警告しています。
二人の主人に兼ね仕えることはできない、と。
気をつけてください、イエスが言っているのは、
神と悪魔、または善と悪ではありません。
そうではなく、神と富です(ルカ16・13参照)。
私たちは、イエスに期待しているかもしれません。
二人の主人に兼ね仕えることは出来ない、
神と悪魔に仕えることは出来ない、と言われるのを。
それに反してイエスは、神と富と言われます。
富を使うこと(servirsi)はよい。富に仕えること(servire)はいけません。
それは、偶像崇拝であり、神を侮辱することです。
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それなら、豊かになることを望んではいけないのか、と考えるかもしれません。
もちろん、出来ます。むしろ、それを望むことは正しいことです。
豊かになることは素晴らしいことです。
しかし、神に従って豊かになること。
神は、誰よりも豊かな方です。
神は、いつくしみ、憐みに富んでおられます。
神の豊かさは、誰も貧しくすることはありません。
けんかや分裂を生みません。
それは、与え、分配し、共有することを愛する豊かさです。
兄弟姉妹のみなさん、
善く生きるためには、物質的財産を蓄積することでは十分ではありません。
なぜなら、イエスが言われるように、
人の命は所有しているもの(財産の多さ)に依るものではないからです(ルカ12・15参照)。
そうではなく、善い関係に依るものです。
神との関係、他の人々との関係、また、少ししか持っていない人との関係。
ですから、自問してみましょう。
私は、どのように豊かになりたいと望んでいるのでしょうか。
私は、神に従って豊かになりたいのでしょうか、
または、自分の貪欲に従って豊かになりたいのでしょうか。
そして、遺産の問題に戻れば、
私はどんな遺産を継ぎたいと望んでいるのでしょうか。
銀行にあるお金、物質的なものでしょうか、
または、私たちの周りの満ち足りた人々、
忘れられることのない善い行い、
私が、成長し成熟するのを助けた人々でしょうか。
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聖母が、人生の真の財産、永遠に残る財産が何であるのかを
理解するのを助けてくださいますように。
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