Sr.ルカの独り言:「マリア論オンライン講座」2020年の振り返り (2021年1月7日)
2021年の初めに、「マリア論オンライン講座」の原点に戻り、
初心を確認し、前に進む方向性を再び確認したいと思います。
「マリア論オンライン講座」は、
わたしが属するPAMI(教皇庁立国際マリアン・アカデミー)の
主要企画の一つとして始まりました。
2020年は、コロナ・パンデミックのため
予定していた出張、講話、授業が次々に中止、延期となりました。
そんな中、ナザレのマリアの真の姿をより多くの人に伝えるために、
「動画」を通して発信する方法もあるのではないか、という思いを
実現する時が来た、と感じました。
修道会の姉妹で、ITに強いSr.Hに相談し、協力の承諾を得、
2020年5月から月一回、一般公開で、
一回15分くらいの「マリアのミニ動画」配信を始めました。
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同じ時期に、PAMIは
世界中の言語で行う「マリア論のオンライン講座」の企画を推進していて、
すでにイタリア語、スペイン語、ポルトガル語で行われていました。
わたしが「ミニ動画」を始めたことはPAMIに報告していましたから、
そのこともあったのでしょう。
あるとき、PAMI長官で、母校教皇庁立『マリアヌム』神学院の先輩、
ステファノ・チェッキン神父から
PAMIの2020年秋からの年間プログラムに
「日本語のマリア論オンライン講座」を入れたい、との打診。
日本語での講座はしてみたかったけれど、
カトリックの国ではない日本で受講希望者が集まるだろうか、
と思っていたわたしは、「背中を押された」と感じました。
「今、始めるしかない!」と決心。
このようにして、
第一期、PAMI企画の「マリア論オンライン講座、日本語版」が
何人かの善意のボランティア・スタッフと共に、2020年9月に始まりました。
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各国語の「オンライン講座」に籠めたPAMIの願いは、
マリア論を勉強したくても、
経済的、時間的、また言葉等の問題で
実際にローマや各地のマリア論研究所に来て勉強することが困難な人にも、
PAMI会員でマリア論博士課程を修了した人によるオンライン授業で、
「真のマリアの姿」を学ぶ可能性を開く、ということです。
学術的な内容だけでなく、
古代キリスト教からの芸術、伝統、典礼賛歌を通して、
多くの先人たちが実際に生きてきた「マリアの霊性」に触れることによって、
わたしたち自身の信仰生活を深めることも、
「講座」の大きな目的の一つです。
一言で言えば、PAMIの優先課題でもある、
キリスト教の教義・典礼・生活(生き方)・祈りの一貫性を
聖書と聖なる伝統の中に浮かび上がる「真のマリアの姿」を通して考えること。
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講座内容を次のように箇条書きにしてみました。
「ナザレのマリアの真の姿」を共に学びます。それは、
①聖書と教会の伝統に基づき、
②典礼の中で深められ、
③教会の教えに導かれ、
④さまざまな文化・芸術の中で表現され、崇敬され、
⑤「霊性」として生き、経験されてきた聖母マリアの姿です。
現代マリア論の課題として次のことが挙げられます。
聖母マリアは、初代キリスト教の時代から絶え間なく崇敬されてきました。
他方で、聖書の教えに合わない、キリスト教的崇敬からかけ離れた崇敬の仕方が、
人々を惑わしている現実もあります。
原点に戻り、聖書から出発して、
救いの歴史のなかに息づく「あがない主の母(Redemptoris Mater)」の姿を
知ることが必要でしょう。
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教皇フランシスコは、
PAMI創立60周年記念のメッセージ(2019年12月4日)の中で、
世界各地の「マリアン・アカデミー」が
「マリアの家」になることを望む、と言っています。
「マリアの家」の中で、人々がイエス・キリストと出会い、
キリストの神秘の中にさらに深く入ることができるように、と。
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ステファノ神父から打診があったとき、
頭の中に、「とにかく始めてみよう!」という言葉が浮かびました。
それに共鳴して、ある友人からのメッセージ、
「それはつまり『Just do it!』ですね。
どこかのスポーツメーカーのキャッチコピーですが、
大切なことだと思います」。
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尊敬するH神父の名言、「先ず動いてみないと、風は吹かない」。
「風」はわたしの好きなイメージです。
太平洋の荒波を見て育ったせいかもしれません(茨城県日立市生まれ)。
何かが、誰かが動けば「風」が吹きます。
その「風」に乗る人も、逆らう人もいるでしょう。
当然のことです。一人ひとり違うのですから。
人間の作る「小さな風」が吹くところに、
神さまの根源的な「深い風」が吹き込みます。
また、神さまの深い風が吹くところに、
人間の小さな風が吹き始めます。
どちらもアリ、と思います。
神さまの風と、人間の風。
三位一体の神さまのいのちを芯として調和するとき、
思いがけない力を得るのでしょう。
「とにかく始めてみます!」
わたしたちに先立って信仰の旅路を歩んだマリア(『教会憲章』)を見つめながら、キリストを信じる者として生きるとはどういうことかを、
共に学んでいきたいと願っています。
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正直言うと、イタリアやスペイン、ポルトガル語圏では、
30名定員のところ数百名単位の受講申し込みがあり、
数回に分けるなどの対策が取られていると聞き、
カトリック国でもない日本で10人集まるだろうか、と心配していました。
講座を始めてみて、それが杞憂に過ぎなかったことが分かりました。
2020年終わりには、参加者は、
受講・聴講を合わせて250人を超えました。
日本で、これほど多くの人が、
聖母マリアについてきちんと学びたいと思っていたのか、と
感謝と共に、責任も感じています。
同時に「数」ではなく、「質」が大切だ、という
教皇フランシスコの言葉を胸に刻んでいます。
「福音宣教」―善い知らせを運ぶこと―は、
たくさんの人を集めることではなく、
世界を内側から「福音化」すること、
そのためには、福音を運ぶ人―わたしたち―がまず、
福音化されなければなりません。
つまり、わたしたちの生活、生き方が、
イエスの福音によって変えられなければなりません。
「マリア論オンライン講座」は、
まずわたし自身にとって、
絶え間ない「回心」、「福音化」の場です。
言葉だけでなく、生き方をもって、
イエスの母の姿を証しする場です。
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「オンライン講座」開始と共に、スタッフの協力を得て、
「マリア論オンライン講座」ホームページを開設しました。
単なる「お知らせ」だけでなく、
コロナ・パンデミック下で「霊的糧」を求めている方たちに
わたしにできる形で答えたいと
その時その時、「これをしてみよう」と思ったことをスタッフに相談し、
実現してきました。
現在、「マリアのミニ動画」へのリンク、
PAMI関連ニュース、教皇フランシスコの言葉、
Sr.ルカの独り言、スタッフの独り言…などの項目が加わりました。
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「真のマリアの姿」を広める、というPAMIの目的は、
救いの歴史の中での、主の母マリアの存在、使命を見つめることを通して、
マリアが指し示す方、マリアの胎の中で「肉」となり、人となった
イエス・キリストと出会い、
マリアのように、キリストを日々の生活の真ん中に置いて生き、
マリアのように、キリストの中に死に復活し、
三位一体の神の交わりの中に入ること、とも言えるでしょう。
「救いの歴史」とは、過去のことではなく
今も、キリストの民が日々織りなしている歴史です。
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教皇フランシスコはしばしば、
キリスト者の心は、自分や家族、友人だけでなく、
「すべての人」に開かれていなければならない、と
思い起こします。
なぜなら、わたしたちは、
「すべての人」、ご自分のすべての子らを救うことを望む御父を信じ、
御父のみ心を行うために、「聖霊によって処女(おとめ)マリアから」生まれた、
「すべての人」の救い主である御子キリストを信じているから。
キリストが「すべての人」の救い主であるなら、
その母マリアは、真の「エバ」、「すべて生ける者の母」です。
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「マリア論オンライン講座」の受講者のみなさんの中に
聖霊が豊かに働き、
みなさんが、わたしの貧しい言葉を超えて、
父である神が、今、自分たちに望んでいることを知り、
日々の隠れた小さなわざの中で、
それを行う力をくださいますように!
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2021.01.10 05:21