Sr.ルカの独り言:(2021年1月21日)闇の中に輝く光

冬の日の朝日は、私に、

「闇の中に光が輝いた」という

ヨハネ福音書の冒頭の言葉を思い起こします

(ヨハ1・5参照)。


真っ暗な夜は

どんな光をも飲み込んでしまうかのように見えます。

その、出口のないように見える閉ざされた闇の中に

「光」が輝きます。



「光」そのものである神を

闇は飲み込むことは出来ません。


***

ロシアの著名なイコン作家、修道士、

アンドレイ・ルブリョフ(Andrei Rublev)が書いた

「三位一体」イコン


穏やかな美しい調和

互いに賜物として自己を明け渡し合う

「交わり(コムニオ)」の神


しかし、ルブリョフがこのイコンを書いたのは

平安な時代においてではなく、

15世紀初めのロシア、

タタール人の侵略、内乱の混沌の中、

人々が虫けらのように残虐に殺されていくのを目の当たりにし、

傷つき苦しむ人々を自ら世話するという経験を通してでした。


あの、心の奥深くに

三位一体の神の調和の美しさを刻み、

その交わりの中に私たちを招く

無償の神のいつくしみのイメージを、

ルブリョフは暗い闇の経験を通して書いたのです。


***

それはまたわたしに、

ユダヤ教のラビの言葉を思い起こさせます。


「アウシュビッツの後に神は存在するのか」という

根本的な問いかけに対し、現代ユダヤ教は答えます。


「アウシュビッツの後でも、私たちユダヤ人は神を信じるのを止めない。

だから、神は存在する」と。


詩編は「神のいつくしみは永遠」と繰り返します。

信じる者たちは、闇の中でもそれを信じ続けます。


***

先日、教皇フランシスコの

「賛美の祈り」についてのカテキズム(2021年1月13日)からの

「独り言」を書きました。→こちら


アシジの聖フランシスコの「太陽の賛歌」、

姉妹である月と星、兄弟である風…、全被造界を巻き込んで

「ラウダート・シ」、わたしの主はたたえられますようにと

フランシスコが歌ったのは、

彼がもはや目が見えず、兄弟たちからも排斥され

死が近づいていた、まさに闇の時でした。


光に溢れた「賛歌」は

どんな絶望的な状態も、

フランシスコの心が宿す真の光を奪うことはなかったことを

証ししています。


この世の闇は、

フランシスコの心の中の真の光を

飲み込むことは出来ませんでした。


***

コロナ・パンデミックの時代

日本の、世界の今と将来を

真摯に考え語る人々の言葉に耳を傾け、

私たちに出来る小さな貢献を差し出していくべきでしょう。


それと同時に、

この世の闇を常に超えて、

「わたしたちと共におられる神」の現存を

宿し、運ぶ使命を

忘れてはならないでしょう。


それが、この世で、神の民に託された使命だからです。


この世の歴史、一人ひとりの歴史が、

さらに大きな救いの歴史、神の愛の歴史の中にあることを

言葉よりも先に、生き方で証しする使命。


今朝の独り言でした。祈りつつ。

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