イエスの聖テレジア教会博士宣言50年に、教皇メッセージ
[バチカン放送HPより]
https://www.vaticannews.va/ja/pope/news/2021-04/messaggio-50mo-del-dottorato-s-teresa-d-avila.html
教皇フランシスコは、イエスの聖テレジアの教会博士宣言から50年を記念する会議にメッセージをおくられた。
教皇フランシスコは、イエスの聖テレジアの教会博士宣言から50年を記念する会議にメッセージをおくられた。
16世紀のスペインの偉大な神秘家、カルメル会の改革者である、イエスの聖テレジア (アヴィラの聖テレジア・1515-1582)は、1970年、教皇パウロ6世によって「教会博士」とされた。
今年4月12日から15日、スペインのアヴィラ・カトリック大学で聖テレジアの教会博士宣言より50年を記念し、国際会議が開催された。
教皇はこれを機会に、会議参加者にビデオを通し、次のようなメッセージを寄せられた。
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イエスの聖テレジア、教会博士宣言50周年を記念する国際会議にご出席の皆さんに挨拶をおくります。
この国際会議のテーマに、「卓越した女性」というタイトルが選ばれました。これは、かつて、聖テレジアの教会博士宣言において、時の教皇、聖パウロ6世が使った言葉です。確かに、聖テレジアは、あらゆる面で卓越した女性でした。しかし、忘れてはならないのは、この女性のすべての卓越性の秘訣は、彼女にとって最も重要であった一つの出来事に由来しているということです。すなわち、聖テレジアの優れた点のすべては、彼女が最も大切にしていたイエス・キリストとの親しい出会いの結果であったということです。
聖テレジアにとって、キリストとの出会いがすべてでした。彼女は、このキリストとの一致を、祈りによって忠実に保ち続けました。イエスの聖テレジアは、確かに優れた女性でした。なぜなら、何よりもまず彼女は聖なる人でした。聖霊に対して忠実であった彼女は、キリストに一致し、神の愛に絶えず燃えていました。
わたしたちは、変化の時代を生きているのではなく、いわば、時代の変革を体験しています。こうした意味で、聖テレジアが生きた16世紀の世界と、わたしたちが生きている今日の世界は良く似ています。現代に生きるわたしたちも、聖女のように聖霊の働きに忠実に従うことによって、聖霊の力がこの世界を変えていくことができるよう、協力する必要があるのです。
第二バチカン公会議が強調した「すべての人が聖性に招かれている」という真理を思い起こす必要があります。特別な人だけが聖性に招かれているのはなく、すべてのキリスト者が、洗礼の秘跡によって、キリストのようになるべく使命を受けています。
聖テレジアは、祈りとは、特別なことや神秘的なことを体験するためではなく、ひたすらキリストと一致するためにあると教えています。そして、このキリストとの一致の真のしるしは、愛徳の業であるとも言っています。聖テレジアはこの真理を確信し、霊的な娘たちであったカルメル会修道女らにいつもこう教えていました。祈りにおける神への献身、キリストとの一致は、必ず愛の業として外に現れるものであると。
祈りにおいて神と一致すればするほど、愛の行いを通して、外に向かっていくものです。自分自身に閉じこもってしまうのは、決して神との一致に至っていないことのしるしです。
聖テレジアは、いつも修道女たちに言っていました。主は業を、行いを、望まれます。祈りとは、神秘的なことや不思議な奇跡を行うことではありません。それは、神のご意思との真の一致にあるのです。聖テレジアは、代表的な著作「霊魂の城」の中で、人の完徳の度合いは、その人の愛徳の度合いに比例すると言っています。
聖テレジアは、神との一致に至る道を、祈りを通して神と深く一致する道を教えました。この道をまっすぐに歩むために、己の真の姿を認めることの必要性も聖女は強調しています。神の御前で、自分の本当の姿を知り、認めることが必要です。聖女は、あの最も高い聖性の段階に達した時でさえ、自分は神の御前であわれな罪びとであると自称していました。自分の小ささ、惨めさを自覚すればするほど、神の憐れみの美しさ、大きさに眩惑されるのでした。
神の憐れみは、すべての人を受け入れ、すべての人にその友情を提供します。聖女は言います。神の憐れみは、わたしたちが思いつく限りの悪よりも大きいと。彼女はまたこうも言っています。「わたしの方が先に、主に背くことに疲れてしまいます。神は決して、わたしたちを赦すことにお疲れになりません」。「神は与えることに疲れを知らず、その憐れみは無限です」。
そして、聖女は、詩編第89番の言葉を自分自身のものとし、繰り返し唱えていました。「主の慈しみをとこしえにわたしは歌います」。
祈りによって、聖テレジアは創造性に富んだ、優れた改革者となりました。祈りを通して、希望に道が開かれます。わたしたちも教会博士聖テレジアのように、この困難に満ちた時代を生きていきましょう。聖女は言っていました。このような時だからこそ、真に忠実な神の友人たちが必要とされるのです。
困難な時に陥りやすい誘惑、それは悲観主義に陥ることです。狭い自分の世界に閉じこもることなく、開かれた神の世界に身を投じましょう。神はいつもわたしたちと共におられます。
最後に、イエスの聖テレジアのこの素晴らしい有名な祈りを、しばしば唱えるよう皆さんに勧めたいと思います。
「何もあなたを乱すことのないように
何もあなたを驚かすことがないように
すべては過ぎ去ります
ただ神のみが不変です
忍耐はすべてを獲得します
神を持つ者には何も欠けるものはありません
神だけで充分です」。
聖母マリアと聖ヨセフがいつも皆さんと共にありますように。
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